最近読了した本の中から、自然科学関係の本を中心に挙げる。

2012年

  1. 12月23日 ポール・セルー(阿川 弘之 訳):『鉄道大バザール 下』講談社文芸文庫, 2012年
  2. 12月10日 ポール・セルー(阿川 弘之 訳):『鉄道大バザール 上』講談社文芸文庫, 2012年
  3. 12月9日 田中 誠二 :『熱帯昆虫のふしぎ - ステノターサスのすむ森で 』 文一総合出版, 1993年
  4. 11月30日 前野 ウルド 浩太郎 :『孤独なバッタが群れるとき - サバクトビバッタの相変異と大発生に』(フィールドの生物学) 東海大学出版会, 2012年
     このシリーズ随一の厚さを誇る本だが、惹き付けて読み通させるおもしろさがある。著者の恩師に当たる田中誠二博士についても知りたくなった。
  5. 11月25日 小川 洋子 :『人質の朗読会』 中央公論新社, 2012年
  6. 11月23日 小川 洋子 :『ことり』 朝日新聞出版, 2012年
  7. 11月18日 馬渡 峻輔 :『動物分類学の論理』 東京大学出版会, 1994年
     必要あって動物分類学や学名について読んでいる。これはその一つ。佐々治 寛之『動物分類学入門』(1989年)、直海俊一郞『生物体系学』(2002年)といったあたりもあわせて読んだ。
  8. 11月11日 佐々治 寛之 :『テントウムシの自然史』 東京大学出版会, 1998年
  9. 11月9日 沓掛 良彦 :『詩林逍遥 枯骨閑人東西詩話』 大修館書店, 1999年
  10. 11月3日 沓掛 良彦 :『文酒閑話』 平凡社, 2000年
  11. 10月21日 四方田 犬彦, 石井 睦美 :『別離と再会』 新潮社, 2011年
  12. 10月14日 E. ワズマン(平野 武雄 訳):『蟻・蟻の客』牧書房, 1946年
     以前から探していた本。丸山宗利さんの本に刺激されて、Erich Wasmann の著作(古書)をいくつか取り寄せてしまった(まったくの責任転嫁です)。
  13. 10月7日 平嶋 義宏 :『学名論 - 学名の研究とその作り方』東海大学出版会, 2012年
     これまでの学名関係の著書各種と比べて、期待はずれ感が大きかった本。校正の時間不足のためなのか重複や誤植などが目立つ。
  14. 9月25日 丸山 宗利 :『アリの巣をめぐる冒険 - 未踏の調査地は足下に』(フィールドの生物学) 東海大学出版会, 2012年
     ブログや編著書を通じて注目している気鋭の昆虫分類学者の著書。多面的な発展性がある素晴らしい研究テーマを見つけたものだと感心する。そういうテーマを持って、かつ、非常に精力的に研究している。感心することしきり。
  15. 9月22日 小原 嘉明 :『進化を飛躍させる新しい主役 - モンシロチョウの世界から』岩波ジュニア新書, 2012年
  16. 9月11日 大澤 省三 :『虫から始まり虫で終わる - ある分子生物学・分子進化学者の辿った道のり』クバプロ, 2012年
  17. 9月9日 盛口 満 :『ドングリの謎: 拾って、食べて、考えた』ちくま文庫, 2011年
  18. 9月5日 Kristin Johnson : "Ordering Life: Karl Jordan and the Naturalist Tradition", Johns Hopkins University, 2012年
     Walther Horn に関する記述もあり、かなり参考になった。
  19. 9月2日 朝永 振一郎 :『滞独日記』(『朝永振一郎著作集』別巻2所収)みすず書房, 1985年
  20. 8月26日 竹内 薫 :『闘う物理学者』中公文庫, 2012年
  21. 8月19日 三木 卓 :『K』 講談社, 2012年
  22. 8月7日 Frederick Orpen Bower : "Sixty Years in Botany in Britain (1875-1935)", Macmillan, 1938年
  23. 8月1日 John Farley : "Gametes and Spores: Ideas About Sexual Reproduction, 1750-1914", Johns Hopkins University Press, 1982年
     植物の世代交代について改めて勉強する過程で、有性生殖の研究史(例えば、精子が発見され、その役割が正しく認識されるまでの過程)に興味を持った。運良く見つけることができた本書はかなりよい参考書で大いに役に立った。重要な貢献を成した研究者についても伝記的な事柄を知ることができた。残念なのは、終わりの方の章は記述がやや簡単に過ぎてわかりにくいところであろうか。
  24. 7月31日 フランソワ・ジャコブ(原 章二 訳) :『ハエ・マウス・ヒト - 生物学者による未来への証言』みすず書房, 2000年
     以前に英訳で読んでいたものを邦訳で再読。
  25. 7月13日 Judith Schalansky (transl. by Christine Lo) : "Atlas of Remote Islands (Fifty Islands I Have Never Set Foot on and Never Will)", Penguin Books, 2010年
     一乗寺の恵文社で見つけて購入した本。50の孤島の地図が美しく、それぞれの島の奇譚にも引き込まれる。副題にあるように、どの島も訪れることがなさそうである。
  26. 6月17日 富士川 英郎 :『失われたファウナ - 消間詩話』小澤書店, 1980年(再読)
  27. 6月3日 丸谷 才一 :『人形のBWH』文春文庫, 2012年
  28. 5月27日 Karl von Goebel (transl. by H.M. Bower & F.O. Bower) : "Wilhelm Hofmeister, The Work and Life of a Nineteenth Century Botanist", The Ray Society, 1926年
     植物の世代交代について勉強し直す過程で、この概念の提唱者である Wilhelm Hofmeister に興味を持った。著書の英訳版(日本には所蔵機関がない?)を取り寄せて読むとともに、門下の植物器官学者 K. v. Goebel による評伝の英訳を読んだ。英訳者は、英国の植物学者で、世代交代の概念を発展させた H.M. Bower とその夫人。
  29. 5月26日 上野 俊一, 鹿島 愛彦 :『洞窟学入門 - 暗黒の地下世界をさぐる』講談社ブルーバックス, 1978年
  30. 5月17日 マーシャ・ガッセン(青木 薫 訳) :『完全なる証明 - 100万ドルを拒否した天才数学者』文春文庫, 2012年
  31. 5月9日 山内 一也 :『ウイルスと地球生命』岩波科学ライブラリー, 2012年
  32. 4月24日 柏谷 博之 :『地衣類のふしぎ』サイエンス・アイ新書 (ソフトバンククリエイティブ), 2012年
  33. 4月18日 盛口 満 :『シダの扉―めくるめく葉めくりの世界』八坂書房, 2012年
  34. 4月11日 井上 浩 :『コケに魅せられて- 自然史料学への道』(玉川選書 )玉川大学出版部, 1975年

  35.  3月から年内いっぱい、抄読を含めて、いわゆる隠花植物学、蘚苔類学関係の教科書・参考書類を広範に読む。


  36. 3月10日 神谷 律 :『太古からの9+2構造 - 繊毛のふしぎ』岩波科学ライブラリー, 2012年
     鞭毛・繊毛について勉強したいと思っていたところ、本当にタイミングよく刊行された本。
  37. 2月26日 四方田 犬彦 :『歳月の鉛』 工作舎, 2009年(再読)
  38. 2月25日 細 将貴 :『右利きのヘビ仮説 - 追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化』(フィールドの生物学) 東海大学出版会, 2012年
     京都大学が誇るユニークな若手研究者のひとりであろうと、かなり以前から注目していた。今後のさらなる発展が楽しみである。
  39. 2月20日 小山 慶太 :『寺田寅彦 - 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学』中公新書, 2012年
  40. 2月15日 西村 三郎 :『チャレンジャー号探検 - 近代海洋学の幕明け』中公新書, 1992年
     (「かつての」と入れるべきだろう)自然科学に対する英国および英国人の姿勢に改めて敬意の念を強くする一冊。この著者の本からは、いつも多くを学ぶ気がする。教わってみたかった(講義を聴いてみたかった)方の一人。
  41. 2月6日 ガブリエル・ウォーカー(渡会 圭子 訳):『スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結』ハヤカワ・ノンフィクション文庫, 2011年
  42. 1月31日 川村 俊一 :『昆虫標本商万国数奇譚 』河出書房新社, 2012年
     この日の午後から高熱で寝込む。
  43. 1月21日 坪内 稔典 :『俳人漱石』岩波新書, 2003年
     併せて、句会と歌会の本(岩波新書)数冊を再読。
  44. 1月7日 オレン・ハーマン(垂水 雄二 訳) :『親切な進化生物学者 - ジョージ・プライスと利他行動の対価』みすず書房, 2011年