『新しい植物ホルモンの科学 第2版』(神谷勇治・小柴共一 編, 2010年)「第10章 フロリゲン」補足

上記の教科書利用者のために、「第10章 フロリゲン」に関する内容の補足を不定期におこなう。

1. 参考文献追加(2010.4.10)

参考文献は「和文のもの3件」という制約があったため、荒木自身が関わったものに限定せざるを得なかったが、以下のものを追加する。

イネのHd3a関係

  • 玉置祥二郎・島本 功 (2007) イネから見いだされた花成ホルモン フロリゲン.蛋白質核酸酵素 52(14), 1884-1889.
  • 石川 亮・横井修司・島本 功 (2006)  温故知新:光中断実験から光周性による開花の分子機構に迫る.蛋白質核酸酵素 51(8), 933-942.
  • 一般書

  • 瀧本 敦 『花を咲かせるものは何か 花成ホルモンを求めて』 (中公新書1400)
    中央公論社, 1998. 218 pp.

     著名な花成生理学者が、花成について、特に、日長(光周期)による花成誘導のしくみについてわかりやすくかつ情熱をもって語ったもの。優れた科学読み物として推奨したい。

  • 日本植物生理学会(監修)(2008) 西村尚子(著)『花はなぜ咲くの?』(植物まるかじり叢書3), 化学同人. (荒木 崇 責任編集)

     気鋭のサイエンスライター西村尚子さんによる優れた科学読み物。第2章と第3章が、花成についての研究の紹介になっている。島本 功教授(奈良先端科学技術大学院大学)の提供により、イネの茎頂付近におけるHd3a蛋白質の分布を示した写真がカラー口絵に出ている。

  • 荒木 崇 (2007) 花を咲かせる仕組み -「花成ホルモン」フロリゲンの探索-.
    「植物の軸と情報」特定領域研究班(編)『植物の生存戦略 -「じっとしているという知恵」に学ぶ-』朝日新聞社, pp. 51-72, 口絵p. 8

  • 2. FT 蛋白質の立体構造(2010.4.10)

    FT 蛋白質

      FT 蛋白質の立体構造
      3つの異なる方向からみた FT 蛋白質の構造を示す。4つのアルファ・へリックス(赤色のリボン状)と9つのベータシート(黄色の板状矢印)から構成されている立体構造は、哺乳動物のPEBPとよく似ている。NとCは、N末とC末を示しているが、N末の5個、C末の8個のアミノ酸残基が欠けている。
    (大門靖史博士 提供)